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オタクの備忘録

第2回 音で沼津を照らしたいコンサートで感じた「おとぬま」の魅力

 9/17(月・祝)に沼津市民文化センターで開催された「第2回 音で沼津を照らしたいコンサート」に行ってきました。これがとても素晴らしいコンサートだったので、レポートを通して「おとぬま」の魅力を紹介していきたいと思います。


まえがき

 そもそも「音で沼津を照らしたい」というのはTwitterの公式アカウントの言葉を借りると「音楽と沼津を愛するインストアレンジグループ」で、その名称からも分かる通り、ラブライブ!サンシャイン!!の楽曲を中心とした演奏をされているグループです。通称「おとぬま」として沼津市民やラブライブ!サンシャイン!!のファンを中心に親しまれています。

私は以前TwitterのRTで回ってきた動画で「おとぬま」を知りました。

 これは沼津市の中心を流れる狩野川のほとりの「かのがわ風のテラス」で行われた第1回おとぬまコンサートの動画でした。
 主旋律を奏でるサックスの響き、スティールパンの跳ねるような音色、狩野川の水面に逆さに映り込む光、そして演奏者と観客の物理的・心理的な近さが作り上げる空間がとてもノスタルジックで、動画というフィルターを通してもなお溢れ出るエモさにとても惹かれました。この演奏を生で聴いてみたいと思い、今回の第2回コンサートに行くことにしました。

 今回はあいにく友人の予定が合わなかったので一人で行ってきましたが、開演までの時間で沼津を楽しむこともできて良かったですね。沼津の街角には今回のコンサートの告知の張り紙もあって、地元でも愛されているグループなのだと感じました。会場となったのは沼津市民文化センター小ホールでキャパは526人らしいです。

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(画像は第3部 ※撮影可でした)


コンサート第1部 1期曲

 幕が上がると同時に聴こえてきたのはおなじみ「Main theme of Lovelive! Sunshine!!」。コンサートという名前ではあるけれど、Aqoursのライブみたいにスタンディングで盛り上がってけよ!(意訳)とおとぬまリーダーののえるさん。
 第1部はテレビアニメ1期のストーリーをなぞるように演奏が繰り広げられました。(それが確信できたのは「ダイスキだったらダイジョウブ!」だったのでまだまだですね。)

 やはり、ラブライブ!サンシャイン!!の曲の生演奏を聴ける、というのがとても貴重で開幕から高まりっぱなしでした。また、何といってもおとぬまコンサートでは劇伴の生演奏が聴けるということも推しポイントです。劇伴の深みの入口に立ったばかりの私ですらかなり突き刺さるような選曲、構成だったので、ガチ勢の方々は”いわんや”でしょう。

 第1部で演奏された楽曲の中で特筆すべきは「想いよひとつになれ」で、今回のコンサートで思い入れがある曲としてMCでも触れられました。実はこの沼津市民文化センターは劇中でラブライブ!予備予選が行われた会場のモデルになっていて、まさに千歌たちが「想いよひとつになれ」を披露した場所だったんですね。「MIRAI TICKET」で締められた第1部でしたが、この時点で既に満足度が高すぎましたね。


コンサート第2部 おとぬまユニットカーニバル

 第2部はおとぬまユニットカーニバルと題して、今回出演されているメンバーが普段活動されているグループ単位に分かれてラブライブ!サンシャイン!!のソロ曲、ユニット曲を演奏されました。
 
 トップバッターは男性2人ユニットのAqu男さん。コーラス出演の方を除くと今回唯一ボーカルありで楽曲を披露されました。「おやすみなさん!」と「近未来ハッピーエンド」というかわいい系の楽曲で意外でしたが、優しい歌声がアコギとパーカッションに溶け込んでいて、とても心地良い音楽となって会場を包んでいました。

 2番手はコスプレオーボエ奏者としてテレビ出演もされているよねちさん(with Aqu男さん)。第1部からですが、代名詞的な曜ちゃんのコスプレがとても似合っていました。オーボエの知識は鎧塚みぞれちゃんあまりありませんでしたが、聴いてみるととても美しい音色で、特に「海岸通りで待ってるよ」ではAqu男さんの奏でる軽快なリズムにオーボエの美しい音色が映えていて聴き惚れていました。よねちさん「やだやだ~」←かわいい。Aqu男わーさーさん「ずっと、待ってるううううう!」←かわいい。

 3番手は不自然なカルテットさん。「空も心も晴れるから」と「G線上のシンデレラ」を披露されました。「G線」がバイオリン用語であることは知っていましたが(オタクはこの手の知識はありがち)、あまり弦楽器のイメージが無かった曲でした。しかし、いざアレンジされた演奏を聴いてみると、最初からこういう曲だったかのような完成度で素晴らしい選曲、アレンジだなぁと思いながら聴き入っていました。普段なかなか聴く機会の無い本格的な弦楽四重奏にこういった場所で出会うことができて良かったです。

 4番手はピアノ奏者のシューっとさん。「GALAXY HidE and SeeK」と「Strawberry Trapper」を披露されました。特に「Strawberry Trapper」は元々がハードロックサウンドですが、原曲に引けを取らないくらいの熱さを残しながらピアノ曲として完成された演奏には圧倒されました。このコンサートの翌日が誕生日だったそうで、みんなで「おめでとう!」と叫んでいました。

 そしてトリはおとぬまさんで、第2部限定でグループ名を「音で函館を照らしたい」と改め、Saint Snowの楽曲を披露されました(with よねちさん)。私も例にもれず「SELF CONTROL!!」が大好きなオタクなのですが、特に好きなBメロがとてつもなくカッコよくて、これには”最高”と言うしかなく、客席全体も”最高”の盛り上がりでした。


コンサート第3部 2期曲~アンコール

 「前回のラブライブ! サンシャイン!!」から始まった第3部はアニメ2期をなぞるセットリストでした。数ある劇伴の中で私が最も好きな「ONE FOR ALL」、そしてそこからの「MIRACLE WAVE」が聴けたのが最高でした。この流れは私によく効きます。やってくれると信じていました。

 逆に「Raindrop Melody」から「MY舞☆TONIGHT」の流れは意外なところを突かれた形で、これも強く記憶に残っています。「MY舞☆TONIGHT」を知った後に「Raindrop Melody」を聴くとメロディの関連性に気付きますが、実際のアニメでは逆なので実は気付きづらいんですよね。とはいえコンサート会場では「Raindrop Melody」が流れた瞬間に客席が黒澤姉妹カラーに染まっていくあたり、流石だなぁという印象でした。

 「WATER BLUE NEW WORLD」で一旦の幕引きとなったコンサートは「おとぬま」コールを受けてアンコール。「青空Jumping Heart」を経て、「私たちの輝きはそこに」とともに流れたのは沼津の風景をバックにしたスタッフロール。初参加の私ですら心を打たれたのですから、きっとこの瞬間のスタッフの方々の喜びはひとしおだったことでしょう。おとぬまは出演者とスタッフがお互いにリスペクトしあっているのが伝わってきて、とても理想的な関係だなと思います。
 
 そして迎えた大トリの「WONDERFUL STORIES」では銀テ演出まであって、どこまで人の心を揺さぶれば気が済むんだと思いながら、一体となった空間に身を委ねていました。全編通して、出演者の皆さんがとても楽しそうに演奏されていたのが印象的でとても眩しかったです。

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おとぬまの魅力

 今回のコンサートで、おとぬまという音楽と沼津を愛するインストアレンジグループの魅力を多少なりとも知ることができたのかなと思います。

 アレンジというのは原曲を一度解体して、解釈を加えて再構築するということだと思いますが、おとぬまの方々は、私たちが「ここは外せないよなぁ」と思うような原曲のエッセンスはしっかりと残しつつ、そこから「おとぬま」の音として作り上げられているように感じました。だから彼らの演奏を聴いた私たちは「それだよ!!!!!」となるんですね。これはきっとラブライブ!サンシャイン!!が好きで、曲を聴き込んでその解釈や表現を真摯に考えることのできる熱量があってこそ、成せる技なのかなと思います。

 私はあまり耳が肥えていないので分かりやすい箇所以外にはなかなか気付けないのですが、例えばDETERMINATIONの演奏でのドラムの入りが原曲よりもちょっと強めに叩かれているような、そういう楽曲の「再現」を楽しむとともに「違い」についても楽しめるのが魅力ですね。まあこの点についてはAqoursのライブも然りですが。

 音楽における解釈みたいな話は「蜜蜂と遠雷」を読んだくらいの知識しかないのでやめておきますが、こういうイベントなら音楽の知識が浅い私でも多少語ってもいいのかなと思っています。私はショパンの背景は知りませんがAqoursSaint Snowの背景を知っているのですから。

 話を戻しますが、一言でまとめると、本家Aqoursのライブでさえも味わうことのできない、ラブライブ!サンシャイン!!の世界を彩る音楽の楽しみ方がここにはあって、これがおとぬまの大きな魅力だと感じています。

 勿論、今後もずっとラブライブ!サンシャイン!!の曲だけを演奏され続けるわけではないと思いますが、それでも今ラブライブ!サンシャイン!!が好きな人はアーカイブがあるので、一度聴いてみることをおすすめします。



第2回 音で沼津を照らしたいコンサート


あとがき

 書いていませんでしたが、このイベント入場無料なんですよね。ステージにお金を投げ込むわけにもいかないので、物販でCDを買わせてもらいました。

 投げ銭的な意味合いもありましたが、純粋にもっと聴いてみたい、という気持ちも強かったんですよね。まさにこれを書きながらも聴いています。
 
 出演者の方のTwitterを拝見していたのですが、シューっとさんが「これ人生が変わるくらいの出来事だったかもしれない」と呟かれていたのがとても印象に残っています。シューっとさんにとってはこのコンサートが特異点となったわけですね。

 おとぬまの話はここまでですが、私はというと、実際ラブライブ!サンシャイン!!から受け取った物は多く、ここまでのめり込んだコンテンツは今までに無いくらいです。まずは少し前に始めたギターをしっかりと継続していくことですかね。

 私は何かしらのコンテンツに音楽からハマることが多いのですが、音楽の知識・経験が無くても楽しめる一方、あると楽しみは広がるのかな、とやはり今回のコンサートを含め感じています。きっとこれからハマっていく別のコンテンツに対しても同じことを感じて、これを一生思ってそうだなと考えるとそこの楽しみを一つ増やしたいですね。人生における特異点とまではいかなくても、千歌ではありませんが、後から振り返ってラブライブ!サンシャイン!!との出会えたことで変わったなぁ、と言えるようになりたいですね。